『【参院選】「心地のいい言葉」で国民をダマす候補者たち~このままでは民主主義は機能しなくなる!』古賀茂明氏―現代ビジネス

F4lg03グーグル検索での驚きの結果

今週が最終回となりました。長年読んでいただき、ご意見や激励の言葉をいただいた皆さんに、心から感謝申し上げます。

最後に何を書くか迷いましたが、EU離脱を決めた英国の国民投票と、日本の民主主義について考えてみたいと思います。

英国では、離脱派がさまざまな「嘘」で有権者を「騙し」、誤った選択をさせたという批判が高まっている。再投票を求める声が、残留派だけでなく離脱派からも多数出ていることは、「騙された」と感じている有権者が、かなりいることを裏付ける。

嘘は、投票後すぐに露呈した。離脱派の急先鋒である独立党のファラージ党首は、英国がEUに支払っている1週あたり3・5億ポンド(約481億円) の拠出金を国民医療につぎ込めば、医療サービスが大幅に向上すると言っていたが、投票後、これは間違っていたと認め、撤回。同様に、保守党のジョンソン前 ロンドン市長も、離脱すれば移民を完全にコントロールしつつ、EUとの自由な貿易は維持できて一石二鳥だと宣伝していたが、投票後、それは必ずしも正確で はなかったと、前言を翻した。

移民の急増に不安を感じている人々が多い地域では、移民さえいなくなれば自分達の職が増え、給料が上がると単純に信じて離脱に投票した人が多かっ た。だが、実際には、移民を完全にコントロールすることは困難だし、仮にそんなことをすれば、英国経済は大混乱に陥り、庶民の暮らしにも大打撃となる。

離脱が決まった直後、英国のグーグル検索ワードの首位になったのは、「EU離脱は何を意味するか」、そして、驚くべきことに、2位は「EUとは何か」。それさえ理解せずに投票した人がかなりいたということだ。

日本に目を移すと、いまは参議院選挙の真最中。こちらは英国の国民投票とは違い、争点が一つではなく多岐にわたる。たった一つでさえ理解して正しい 選択肢を見極めるのは困難なのに、十指に余る問題を理解しろと言われても、普通の人には難しい。それを良く分かっている政治家は、有権者を「騙す」テク ニックに磨きをかける。

ある自民党議員の政見放送を聞いていて、思わず呆れた。自民党が重視している憲法や安保の問題には一言も触れず、すべての時間を経済問題に割いた。 しかも、耳に心地のよいバラマキ政策ばかり。同様に、ほとんどの候補者は甘い言葉を囁くだけで、有権者には違いがわからない。これでは、たまたま聞いた政 見放送や演説で耳にしたバラマキ政策や、さも弱者を思いやっているかのような優しげなフレーズに騙されて投票する人が、たくさん出てしまう。

一方で、「騙されない」有権者からすると、嘘八百の公約を聞けば聞くほど、馬鹿らしくなり、投票に行くのを止める。選挙後には、多くの「騙された」 人々が失望し、「騙されない」人々に進化する。「どこに投票しても変わらない」と、政治に絶望する層が、また増えるということだ。

こうして投票率は下がり続け、民主主義は機能しなくなる。日本はいま、その坂道を転げ落ちていくところだ。何とか、歯止めをかけるために、自分にできることは何か。自問自答の日々に、終わりが来ることはない。

現代ビジネス(2016年7月9日)より

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