『驚愕!役人の「天下り」が大復活していた~電力会社がコッソリ再開、東京五輪は「天下りのパラダイス」』 現代ビジネス

F4lg03■新しい「抜け道」もできていた

官僚の天下りが大復活している。

【PHOTO】gettyimages

たとえば経済産業省。東京電力福島第一原子力発電所の事故発生以来、経産官僚たちと電力業界との癒着が非難を受けたのは記憶に新しいが、いま再び業界への「天下り」をひっそりと再開しているというのだ。

業界関係者が明かす。

「天下り先は家庭の電気設備の調査などを行う電気保安協会、東京電力元会長の勝俣恒久氏が理事を務める日本電気協会などです。電力会社そのものに天下りをすると目立つため、業界の関連団体に天下りをするのが最近のやり口です」

財務省の天下りも完全復活している。

「政府系金融機関ではかつて天下り批判を受け民間からのトップ登用が進んだが、ここ数年で財務官僚がすっかり復権しました。日本政策金融公庫の総裁には元財務次官の細川興一氏が就任し、国際協力銀行の総裁も元財務官渡辺博史氏。日本政策投資銀行の副社長も元財務次官の木下康司氏で、財務省は政投銀トップへの天下り復活も目論んでいます。さらに商工組合中央金庫社長は元経産次官の杉山秀二氏と、やりたい放題です」(元経産官僚の古賀茂明氏)

あまり知られていないが、防衛省も天下りを解禁している。

かつて相次いだ官製談合事件で関連業界との癒着ぶりが糾弾されたにもかかわらず、現在まったく同じ構造が蘇っているのである。

「防衛官僚たちの天下り先の一例(’14年実績)をあげれば、三菱重工に28人、三菱電機に10人、川崎重工に5人。いずれも防衛省から年間1000億円規模で受注している企業が、大量の天下りを受け入れている形です。ほかにも数百億円規模の受注をしているIHI、富士通、小松製作所、東芝、日立製作所に防衛省幹部が天下っている。防衛省は『特定の企業しか請け負えない』としてこうした企業に事業を発注して恩恵を与えることで天下り先を確保するのです」(共産党参議院議員の井上哲士氏)

他省庁の主要官僚たちの「再就職先」も以下、ざっと挙げて見よう。

●警視総監 → 富士通特別顧問
●警察庁生活安全局長 → 野村證券顧問
●経済産業省審議官 → 東京海上日動火災保険顧問
●中小企業庁長官 → 三井物産顧問
●農林水産省審議官 → 住友商事顧問
●国土交通省事務次官 → 損害保険ジャパン日本興亜顧問
●国土交通省都市局長 → 三井住友海上火災保険顧問
●原子力規制庁長官 → 日本生命保険特別顧問
●環境省事務次官  → イオン銀行会長……。

これらはいずれも昨年の実績分だが、この中高年リストラ時代にあっても、エリート官僚たちは華麗なる転身を遂げていることが一目瞭然だ。

最近では天下り批判を回避するための新たな「抜け道」も生み出されている。

「天下りする代わりに、現役出向するというのがそれ。出向期間中の勤続年数は役人として計上されるので退職金が減ることはないし、給料は出向先のものが適用されるので天下りするのと同様に旨みがある。特に横行しているのが地域経済活性化支援機構など官民ファンドへの現役出向。その受け皿作りのために一時期、官民ファンドが次々と粗製濫造されました」(ジャーナリストの磯山友幸氏)

実は国家公務員だけではなく、地方官僚の「天下り」も横行している。

「東京都では、2020年の五輪に向けて発注した競技施設の工事を受注した企業に、都職員OBが天下りしていたことが発覚しています。東京都が1月に発注したボート・カヌー、水泳、バレーボールの施設工事を受注したのは、大成建設JV、大林組JV、そして竹中工務店JVなのですが、JVに参加するゼネコン14社のうち、実に12社が都OBを合計45名も受け入れています」(前出・井上氏)

まさに天下りパラダイスだ。

■退職後も古巣に出入りする

「オーナー社長から税金のストレスを解放します」

こう銘打ち、日本経済新聞に毎月のように全面広告を掲載する税理士法人がある。所属税理士を紹介する欄には、税務署長経験者、国税局査察部(マルサ)出身者など国税OBの写真がズラリと並ぶ。「事前に(会社の)オモテとウラを一致させておく」という、なんとも意味深なコピーがついている。

これだけ大規模な広告を毎月打てるというのは、「社長の人生をハッピーにするサービス」(同法人HPより)で相当稼いでいる証だろう。

長年国税を取材し『国税記者の事件簿』などの著書がある、ジャーナリストの田中周紀氏が言う。

「国税OBは、試験を受けて税理士になった人に比べて税務調査のノウハウを熟知しているので、企業の顧問税理士として頼りにされやすい。調査でどこに着目するのか、どこまで許してくれるのかを具体的に把握している。そのうえ、上意下達が徹底されている国税当局の中では年次が絶対的な影響力を持っており、有力とされるOBを顧問にしておくだけで、調査にくる現役職員に無言の圧力をかけることができる。中には声を荒らげ、あからさまに恫喝するOBもいます」

本来、富裕層の納税状況をつぶさにチェックし、1円でも多くの税金を納めさせるのが国税職員の仕事のはず。だが、キャリア半ばで退職してカネ持ちの味方となり、逃税を堂々と手助けする税理士が多いのはなぜなのか。

「やはり、給与面での不満が大きい。大企業に比べると、国税職員の収入はかなり安い。特に、本店(国税局)勤務になれば毎日夜中まで帰れない日々が続くにもかかわらず、給与の面では報われない。国税の現場には東大に代表されるような高学歴の職員もいて『大企業に就職した同期はあんなに稼いでいるのに、国のために一生懸命働いているオレの給料が、なんでこんなに安いんだ』と不満を募らせるケースも少なくない。そこに、外資系の会計事務所から『ウチにくればこれだけ出しますよ』と、甘い誘いがかかる。

国税庁キャリア出身のある税理士は、退職後も国税当局に出入りして、国際課税の専門的な知識を持つエース職員を何人も引き抜いています。

そして、富裕層にいま話題のタックスヘイブンへの資産移転などを指南して莫大な利益を上げ、引きぬかれた税理士のほうも、国税時代とは比べ物にならない巨額の成功報酬を受け取るのです」(前出の田中氏)

■脱税幇助でパクられるOBも

現役国税職員とのパイプをフル活用し、金儲けに走るOBもいる。

「現役職員である妻から、経理がいい加減で税務調査に入られそうな会社の情報を事前入手し、そこに売り込みをかけていたOBがいました。内部情報があれば、調査の対策は容易。噂を聞きつけた企業からひっきりなしに税務対策の依頼が舞い込んで、大儲けしていた」(国税OBの税理士)

先月には、東京国税局の職員2人が、OBの税理士からたびたび飲食接待を受けていたとして懲戒処分を受けた。しかも、そのうち1人は、OBに持ち出し禁止の書類のコピーを手渡すという重大なルール違反を犯したにもかかわらず、処分はたったの停職3ヵ月だった。2人とも結局辞職したとはいえ、あまりに軽い処分。こうした、身内に甘い「ぬるま湯体質」がモラルの低下を招き、癒着をはびこらせる要因になっているのは間違いない。

逃税指南に飽き足らず、完全な犯罪行為である脱税の幇助に手を染めて逮捕される国税OBも、少なくない。

つい先日も、マルサOBの税理士・横井豊被告が脱税を手助けしたとして、大阪地裁で有罪判決を下されたばかりだ。

在阪の国税担当記者が解説する。

「横井被告は、顧問先のラブホテルの経営者に頼まれ、控除の対象となる管理費などを架空に計上し、2000万円を超える消費税を脱税する手法を指南していたのです。

彼は、大阪国税局の主要ポストを歩み、大型税務署の署長まで勤め上げた人物。税務知識や経験からすれば、2000万程度の脱税の手助けなど、お手の物だったはず」

国から給料を得て身につけた専門知識を悪用し、犯罪のお膳立てをする。これではまるで、警察が泥棒になるのと同じ。彼らにはプライドがないのか。

「依頼側はOBだからこそ分かるギリギリの逃税手法を期待し、OB側は期待に応えれば高額報酬はもちろん、次の仕事につながる。結局、互いの利害が一致し、危ない橋を渡ろうとする。『税の番人』としての矜持は、もうありません」(前出・国税担当記者)

国税出身者が富裕層を手助けすることで減少した税収のツケを支払わされるのは、源泉徴収で税金が引かれるのをただ黙って見ているしかない、サラリーマンや年金生活者ら庶民に他ならない。正直者がバカを見る、こんな状況がいつまでも許されていいはずがない

現代ビジネス (2016年5月28日号)より

 

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